カスタマーエクスペリエンスはなぜ重要なのでしょうか?なぜそれを改善することで収益につながるのでしょうか?今日、企業は、スピード感があり、円滑で、魅力的なカスタマーエクスペリエンスによって、競合優位性を確保できると認識しつつあります。しかし多くの企業が、カスタマー・エクスペリエンスで成果を上げる方法について、課題を感じているとされています。ほとんどの企業にとってカスタマーエクスペリエンスを有意義な方法で測定することは難易度が高く、それゆえ改善も難しいという理由が挙げられます。他方では、カスタマーエクスペリエンスがカスタマーサービスと混同されることもあるようです。測定方法も定義もわからなければ、どのように改善すれば良いのでしょうか。
多くの企業は認識していませんが、ほとんどの場合、カスタマーエクスペリエンスを最適化するために必要なデータは、企業がすでに保持しています。しかし残念ながら、そのデータは組織内の分散し、サイロ化しています。先進的なカスタマーデータプラットフォーム(CDP)が登場によって、散財したデータを統合し、顧客が満足している要因を特定し、実用的なインサイトを提供できるようになっています。これは、従来の測定ツールでは不可能でした。
カスタマーエクスペリエンスの本質は「パーセプション(認識)」です。つまり、顧客がブランドと接するときに、見聞きし、感じるものです。Webサイトへのアクセス、請求書の支払い、カスタマーサポートへの電話、実店舗への訪問、製品の使用など、あらゆる場面で発生するすべての接点(タッチポイント)により、カスタマージャーニーは形成されています。
カスタマーサービスの担当者は顧客の課題をうまく解決しているのでしょうか?
サービスは効率よく、適切な時間に提供されているでしょうか?
製品は期待に沿って、十分に動作しているでしょうか?
顧客は常にあなたのブランドのパフォーマンスを観察し、自分の期待値と比較しています。それぞれのインタラクションは、ブランドに対する意見を形成する印象を残します。カスタマーエクスペリエンスの最適化とは、つまるところ顧客のニーズを最優先し、あらゆるタッチポイントで顧客に提供するサービスと満足を優先させることなのです。
現在、カスタマーエクスペリエンスに注目が集まっていますが、これは大袈裟なことではありません。なぜならばカスタマーエクスペリエンスはビジネスの成功にとって重要であるからです。Forresterの調査結果がそれを証明しています。その結論は、「CX(カスタマーエクスペリエンス)に対して先駆的に取り組んでいる企業は、CXに遅れをとっている企業よりも早く収益を伸ばす」。加えて成長だけでなく、さらに多くの利点もあります。Harvard Business Reviewの研究によると、優れたカスタマー・エクスペリエンスを提供することは、次のことを意味します。
ビジネス界の多くがすでに納得しています。Harvard Business Review Analytics Services studyの調査では、調査対象企業の45%がカスタマーエクスペリエンスの管理を戦略的優先事項として挙げ、53%はそれが競争上の優位性をもたらすと回答しています。しかし、残念ながら、カスタマー・エクスペリエンスを測定することと、それをビジネスの成果に結びつけることは別問題です。調査に参加した企業の約半数が、相関関係を実現しようとする際に、課題に直面したと回答しています。成果を測定する上での課題の大部分は、カスタマーエクスペリエンスが通常どのように数値化されているかに起因するものです。
現在のところ、カスタマーエクスペリエンスを測定する方法に、汎用的なものはありませんが、マーケターのツールキットを前提とすると3つの手法が検討されるでしょう。
もちろん、これら以外にも、顧客離反率やファーストコンタクトに対する対応時間、平均処理時間などがあります。しかし、重要なのは、これらの指標がすべて単純であること、及びその大きな制約があることです。
例えば、CSATを取り上げてみましょう。CSATは、多くの企業がカスタマージャーニー全体の顧客体験を表す指標として使用しています。しかし、顧客が個々のタッチポイントで異なる経験や異なるニーズを持っているとしたらどうでしょうか? 例えばある顧客が、注文した商品の配送状況について電話で問い合わせたとします。しかし、電話を切る前に、顧客はその企業を友人に勧めたいかどうかを尋ねられるようなケースがあります。顧客はまだ荷物を受け取っていないにも関わらず、です! 多くのカスタマーエクスペリエンス指標と同様に、CSATが何らかの洞察をもたらすためには、複数のタッチポイントで計測し、分析する必要があります。
このように、比較的複雑なアプローチを用いても、全体的なカスタマーエクスペリエンス向上のために投資すべきはどこかを、完全に理解することはできないと考えられます。
すべてのサーベイ結果は、顧客が言うことと実際に行動することが違うことが多いという事実により、複雑になっています。また、顧客はすべて同じように行動するわけではなく、収益に与える影響も同じではありません。結局のところサーベイは、お客様のビジネスに対する認識についてのデータを収集するためには素晴らしいツールですが、バックアッププランのようなものと考えるべきでしょう。本当に価値があるのは、顧客データから得られる知識であり、その履歴全体から得られる知見です。
カスタマーデータプラットフォーム(CDP)を使って、顧客のデータを一元化し、あらゆるチャネルにおける顧客の行動を長期にわたって計測しトラッキングすることで、顧客が自社ブランドとどのように関わっているかを、企業は正確に把握することができます。最終的にきめ細やかな顧客データによって、企業はカスタマーエクスペリエンスの改善に焦点を当てるための戦略的な選択を行い、その取り組みを成果に結びつけることができるようになります。ここでは、顧客データを活用するためのステップを6つご紹介します。
また、年齢、性別、収入などのデモグラフィック情報も、顧客のジャーニーを理解する上で重要な情報です。
マーケティング担当者は、ベストカスタマーと思われるセグメントと、解約する可能性が最も高いと思われる顧客セグメントに注目することがよくあります。ベストカスタマーを把握することで、重要な質問に集中することができるでしょう。「毎月購入する可能性が最も高い新規獲得顧客は誰であり、この行動を促すにはどうすればよいか」「どの顧客が1回購入したきり二度と買わないのか?」といった質問です。最新の予測モデリングツールは、同じような経験や属性を持つ特定のグループの人々をターゲットにして、適切なタイミングで適切なメッセージやオファーを提供することができます。
Webサイトのクリック数、メールや広告のクリック率など、さまざまな顧客データを追跡して一元管理することで、特定の顧客層に対してどのようなマーケティング戦略が売上につながっているかが明確になります。さらに、顧客のジオロケーションデータを追跡することで、実店舗を訪れた顧客をターゲットにし、ショッピング中に特別な割引やプロモーションを提供することで、売上を向上させるというユニークな機会も得られます。このような戦略が成功した事例のひとつが、日本のライフスタイルブランド無印良品です。
無印良品はその急成長期に、売上向上に苦戦しました。当時、同社は多くのマーケティングキャンペーンを実施していましたが、店舗での物理的な体験とデジタル体験を融合させることに困難があり、顧客がWebサイト上で商品を探した後、実際に店舗に足を運んで購入するというケースが多くみられました。もうひとつの問題は、無印良品がデータを転送し、オンライントラフィックのデータ分析を行っても、店頭で顧客に適切な提案をするのに間に合わなかったことです。モバイルアプリからクリックストリームデータを取得し、WebやPOSの既存データと結合するために必要なスケールと性能を構築するための、エンジニアリングサポートが不足していたためです。
そこで無印良品はトレジャーデータを利用して、オンラインでのブラウジングデータと実店舗での購入履歴を組み合わせ、完全な顧客プロファイルを作成しました。トレジャーデータは、動きの速いデータストリームを取り込み、集約するためのダイナミックでスケーラブルな方法を提供しました。顧客情報とリアルタイムの実店舗在庫データを統合することで、無印良品はパーソナライズされたクーポンや、タイムリーでターゲットを絞ったアプリ内プッシュ通知など、データドリブンでインセンティブを実行することができました。また、無印良品はトレジャーデータの機械学習(ML)機能を活用し、位置情報に応じたプロモーションを行いました。その結果、店舗での売上が46%増加し、クーポンの利用率が100%になりました。
ひとつとして、同じ組織はありません。カスタマーエクスペリエンスを変革するために求められるのは、単一の顧客サーベイや指標では十分なデータを提供できないことを理解することです。重要なのは、顧客にとって最も大切なことに注目し、顧客データから実用的なインサイトを導き出し、そのインサイトを活用することです。参考になる事例を掲載しています。ぜひご覧ください。